皆さんはタイピングが得意ですか?
義務教育課程においてもプログラミングが必修化されるなど、もはや現代社会の必須スキルになりつつあるタイピングですが、パソコンを日常的に使っていないとその習得は難しいですよね。
反対に、日常的にパソコンを使って調べものやゲームをしていると、意識せずとも自然に身についてしまうスキルでもあります。
そんなタイピングを極めに極めた猛者だけが出場できるタイピング大会「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023」が2023年3月12日(日)に開催されました!
高級キーボードのREALFORCEでお馴染みの東プレ株式会社が日本テレビ放送網株式会社と共同開催したイベントの様子をレポートします!
タイピストの頂点が決まる RTC2023
「REALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP 2023(以下、RTC2023)」は東プレ株式会社と日本テレビ放送網株式会社が共同開催したタイピング日本一を決める大会です。
事前に行われたオンライン予選を勝ち抜いた上位16名が日本テレビ社屋で行われるオフライントーナメントに進出。
みごと入賞した方には賞金やREALFORCEキーボードなどが贈られます。
日テレに到着!
周囲にも高層ビルが立ち並ぶなか、ひときわ大きく存在感を示すのが日本テレビタワー。
宮崎駿さんがデザインした日テレ大時計も目を惹きます。
スタジオへ
RTC2023の会場となる特設スタジオに入場。
RTC2023の様子はYouTubeおよびTwitchで生配信されるほか、後日、日本テレビのeスポーツ番組「eGG」でも取り上げられるとのことで、大量のカメラやクレーン、各種機材が並んでいました。
機材が多いということはスタッフの数も多く、さすが日テレです。
RTC2023にはDenasu System、e-typing、KORG、AKRacing、マウスコンピューター(G-Tune)が協力。
最高の環境で激闘が繰り広げられます。
RTC2023の司会・実況は日本テレビアナウンサーの篠原光さん、解説は全日本タイピスト連合代表の隅野貴裕さんが務めます。
いよいよ大会が始まる!
RTC2023のオフライントーナメントはシングルエリミネーション方式が採用されています。
対戦はタイピングソフト「Weather Typing 4.3(RTC2023バージョン)」が使用され、先に10ワードを打ち切った選手がラウンドを獲得します。
決勝戦以外は3ラウンド先取、決勝戦は5ラウンド先取です。
重要なルールが「正確性」です。
10ワードを取得した選手のキータイプの正確性が95%を割っており、対戦相手が95%を超えていた場合は対戦相手がラウンドを獲得します。
ただし対戦相手の正確性が同じく95%を割っていた場合は、10ワードを取得した選手がラウンドを獲得します。
つまり、正確性95%を維持しながら10ワードを取得するのが理想で、もし9ワードを獲得した時点で正確性が95%に満たない場合はワードをわざと打ち切らずに正確性を回復させるという戦略が必要になるのです。
この「正確性」に関するルールが本当に面白く、まさにeスポーツというドラマを生みます。
事前にタイピング練習サイト「e-typing」で行われた予選を勝ち抜いたタイピスト16名がトーナメントに並びました。
やはり注目はRTC3連覇中の絶対女王miri選手ですね。
YouTubeにアップロードされている爆速タイピングの動画は約1,700万回も再生されており、皆さんも一度は見たことがあるのではないでしょうか。
ほかにも注目選手は多く、muller選手は過去3回のRTCでいずれもmiri選手に敗れているという因縁があります。
結果はどうなったのか、さっそく試合の様子を振り返ります!
RTC2023 オフライントーナメント
第1試合 ごえ選手 対 テル選手
ごえ選手 | テル選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 初速(レイテンシ)の悪魔 | 究極のオールラウンダー |
入力方式 | ローマ字入力 | ローマ字入力/かな入力 |
使用機器 | bitFerrous BFKB88PCBK | REALFORCE TKL SA / R2TLSA-JP3-BK |
タイピング歴 | 寿司打 普通3,000円コース 15,020円得 / 普通10,000円コース 40,480円得 | タイプウェル ローマ/かな/英語 全国1位 |
第1試合はごえ選手とテル選手の対決。
初戦ということで独特の緊張感が会場を包みます。
ごえ選手はワードが表示されてから実際にタイピングを始めるまでの初速に自信アリ。
対するテル選手はローマ字入力とかな入力を使い分ける二刀流です。
出題されるジャンルによって入力方法を変えてくるのか注目されました。
結果は1対3でテル選手の勝利!
会場の空気が温まっていない初戦でしたが、高い正確性をキープしたことでごえ選手に対するプレッシャーをかけました。
第2試合 はるまき選手 対 くわな選手
はるまき選手 | くわな選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 高速タイピング大学生 | タイパーVALORANT部の部長 |
入力方式 | ローマ字入力 | ローマ字入力 |
使用機器 | Logicool G813 LIGHTSYNC RGB MECHANICAL GAMING KEYBOARD | ARCHISS ProgresTouch TKL Cherry スピードシルバー軸 |
タイピング歴 | RTC本戦初出場、e-typing 腕試しタイピング 745pt | VALORANT最高到達ランク イモータル2 |
第2試合ははるまき選手とくわな選手の対決。
両者ともRTC本戦は初出場とのことで、100名を超える観客に見られながらタイピングをするという独特の環境で普段通りのパフォーマンスを発揮できるのでしょうか。
結果は0対3でくわな選手の勝利!
タクティカルFPS「VALORANT」の最高到達ランクがイモータル2というくわな選手。
イモータル2は全プレイヤーの上位0.2%といわれており、タイピングもゲームも高い水準のパフォーマンスを発揮しています。
第3試合 三山羊選手 対 あるぱー選手
三山羊選手 | あるぱー選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 求道の8,000万打鍵 | 草食系の指先トリッキー |
入力方式 | かな入力 | ローマ字入力 |
使用機器 | REALFORCE S / R2S-JP4-BK | bitFerrous BFKB113PBK |
タイピング歴 | 2年間8,000万打鍵練習 | RTC2019 第5位、タイプウェル 国語R 全国1位 |
第3試合は三山羊選手とあるぱー選手の対決。
三山羊選手はかな入力部門の予選を圧倒的なスコアで1位通過しています。
対するあるぱー選手はRTC2019で5位に輝いている実績を持ちます。
大好きだというアルパカの人形を持って参戦です。
結果は3対0で三山羊選手の勝利!
お互いにとてつもない打鍵速度を見せますが、三山羊選手の勢いが止まりませんでした。
第4試合 セレナーデ☆ゆうき選手 対 星凪選手
セレナーデ☆ゆうき選手 | 星凪選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 丁寧なインターネット生活 | 乱打系やわやわめんたる |
入力方式 | ローマ字入力 | ローマ字入力 |
使用機器 | REALFORCE A / R2A-JPV-IV | HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/雪 |
タイピング歴 | 「The Typing of the Dead 2004」クリアタイム 世界1位 | 毎日パソコン入力コンクール 和文A 内閣総理大臣賞 |
第4試合はセレナーデ☆ゆうき選手と星凪選手の対決です。
セレナーデ☆ゆうき選手は過去3大会連続出場の猛者。
対する星凪選手は中学生という若手です。
結果は3対0でセレナーデ☆ゆうき選手の勝利!
経験の差が出たかたちでしょうか。
高い正確性を維持し続けたセレナーデ☆ゆうき選手が圧倒しました。
健闘した星凪選手も今後の成長と活躍に注目です。
第5試合 はやとぅ選手 対 あの選手
はやとぅ選手 | あの選手 | |
---|---|---|
二つ名 | その速さ、チーターの如く | 国宝級の乱打 |
入力方式 | かな入力 | かな入力 |
使用機器 | REALFORCE R3S KEYBOARD / R3SC21 | REALFORCE R3 KEYBOARD / R3HC13 |
タイピング歴 | RTC2019 U-22優勝、本戦4位 | 指が腫れるほど練習 |
第5試合は、はやとぅ選手とあの選手の対決。
はやとぅ選手はRTC2019のU-22部門で優勝、本戦も4位という成績を収めています。
対するあの選手はRTC初出場ですがメンタルに自信があるとのことで、この場の空気を味方にできるか注目されました。
結果は3対1ではやとぅ選手の勝利です!
かな入力同士の対決ということで各ラウンドで正確性は早々に捨て、殴り合いの様相をみせた第5試合。
正確性の駆け引きも面白いですが、ただ早いほうが勝つ!という試合も見ごたえがあります。
第6試合 Y-i選手 対 really選手
Y-i選手 | really選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 最後に歓ぶのはこの俺だ! | 三重のタイピング伊達男 |
入力方式 | ローマ字入力 | ローマ字入力 |
使用機器 | REALFORCE R3S KEYBOARD / R3SC12 | bitFerrous BFKB88PCBK |
タイピング歴 | RTC本戦初出場、e-typing 腕試しタイピング 834pt | 毎日パソコン入力コンクール 和文B 1位 |
第6試合はY-i選手とreally選手の対決です。
実況の篠原アナウンサーも「“爽やか”対“色気”の対決」と表現したこの試合。
試合が進むにつれ会場の雰囲気にも慣れてきたからか、試合前の両選手からはリラックスしたムードを感じます。
結果は0対3でreally選手の勝利!
パンタグラフのキーボードを左斜め下に傾けるという独自のセッティングを見せたreally選手。
正確性こそY-i選手に分がありましたが、第3ラウンドの1ワード目に1383kpmをたたき出すなどreally選手の勢いがそれを上回りました。
kpmとはkeystrokes per minuteの略で1分間に入力するキーの数を表します。
瞬間的ではありますが、1383kpmは1秒間に約23回入力しているということです。
もうわけがわかりません(誉め言葉)
第7試合 魔が差す選手 対 muller選手
魔が差す選手 | muller選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 酩酊酔鍵 | かな入力単語スペシャリスト |
入力方式 | ローマ字入力 | かな入力 |
使用機器 | bitFerrous BFKB113PBK | REALFORCE 91U |
タイピング歴 | RTC本戦初出場、e-typing 腕試しタイピング 797pt | RTC本戦全出場、タイプウェル 国語K 全国1位 |
第7試合は魔が差す選手とmuller選手の対決。
魔が差す選手はRTC本戦初出場の一方、muller選手はRTC本戦全出場というお馴染みのタイピストです。
試合前インタビューからは魔が差す選手のほうがリラックスしている印象を受けましたが、muller選手も「自身は無いですが全員ぶっ倒します」と静かな闘志を燃やします。
結果は0対3でmuller選手の勝利!
かな入力は入力数が少ないので正確性がネックになりがちですが、muller選手はかなり高い水準で着実にラウンドを取得しました。
第8試合 miri選手 対 のん選手
miri選手 | のん選手 | |
---|---|---|
二つ名 | 絶対女王 | 跳ねる指先 |
入力方式 | ローマ字入力 | ローマ字入力 |
使用機器 | bitFerrous BFKB92UP2 | bitFerrous BFKB113PBK |
タイピング歴 | RTC大会3連覇中 | RTC2018 4位 |
第8試合はmiri選手とのん選手の対決。
ベスト16の最終試合に満を持して登場するのがRTCを3連覇している絶対女王miri選手です。
今大会も「優勝しにきました」と自信たっぷりです。
対するのん選手はRTC2018でmiri選手と直接対決しており、そのリベンジと意気込みます。
結果は3対0でmiri選手の勝利です!
ラウンド数こそ差がありますが、のん選手も正確性を維持しながら9ワードを取得するなど大健闘。
会場も今日一番の盛り上がりを見せました。
3位決定戦
準々決勝、準決勝を戦って3位決定戦に進んだのは三山羊選手とはやとぅ選手。
両選手は同い年かつ「歌謡タイピング劇場」出身とのこと。
三山羊選手がかな入力を始めたての頃にははやとぅ選手から教えてもらっていたこともあるといい、見知った仲の対決になりました。
第1ラウンドは三山羊選手が獲得。
第2ラウンドでは、はやとぅ選手が1360kpmという驚異の数字を出して会場がどよめきますが、三山羊選手が高い正確性で落ち着いて獲得します。
第3ラウンドをはやとぅ選手が獲得し、衝撃だったのが第4ラウンド。
はやとぅ選手は91%の正確性で9ワードを取得しますが、相手の三山羊選手が95%を上回っているので、このままはやとぅ選手が10ワード目を取得してしまうと三山羊選手の勝利になってしまう場面です。
三山羊選手が数回ミスタイプをしたところで、はやとぅ選手が10ワード目取得を強行!
その瞬間に三山羊選手の正確性は93%に落ち、10ワード目を取得したはやとぅ選手がラウンドを獲得しました。
一瞬の隙を突いた大胆な攻撃に会場も大盛り上がりです。
試合は最終ラウンドにもつれこみます。
勢いに乗るのははやとぅ選手かと思いましたが、冷静さを取り戻したのか三山羊選手が驚異の速度と正確性を見せます。
10ワード目まで全く隙を見せなかった三山羊選手は98%という正確性でみごとラウンドを獲得!
RTC2023の3位に輝きました!
― はやとぅ選手、試合を振り返っていかがですか
はやとぅ選手: 不甲斐ない結果になってしまったなと。自分のタイピングができなかったので悔しいです。
― もともと仲が良い三山羊選手が相手でした
はやとぅ選手: よく知っている相手ではあるんですが、こういう大会の場になると緊張しますね。
― 4位の感想を教えてください
はやとぅ選手: あまり満足できない結果になってしまいましたが、次があればもっと上を目指したいと思います。
― 三山羊選手、少し息が切れているようですが
三山羊選手: そうですね、ちょっと勝った感じがしないですね。
― 追いつかれているシーンもありました
三山羊選手: ワードジャンル「食べ物」はかな入力にとって正確性が落ちやすいジャンルということで正確性を重視した試合運びを目指したんですが、緊張で少しミスしたところを突かれてしまって動揺しました。
― 3位おめでとうございます
三山羊選手: ありがとうございました。
決勝戦
ついにこの時がやってきました。
RTC本戦初出場ながら、ここまで速さと正確さを兼ね備えた冷静なタイピングで勝ち上がってきたくわな選手。
対するはRTC3連覇中の絶対女王miri選手です。
RTC2023では決勝戦のみ5ラウンド先取で勝利となるBO9ルールが採用されています。
最大で9ラウンド戦うことになるので、集中力とスタミナも非常に重要です。
注目の第1ラウンド。
miri選手にしては珍しくミスタイプ混じりのスタートになりましたが、リカバリーは完璧。
決勝戦にふさわしくお互い9ワードを取得して王手に!
10ワード目を取得したのはくわな選手ですが、正確性が94.7%と惜しくも95%に満たず、miri選手が第1ラウンドを獲得しました。
第2ラウンドはmiri選手が97%の正確性で8ワードを取得、その時点でくわな選手は正確性94%の5ワードという大差が開きます。
しかし、ここからくわな選手が怒涛の追い上げ!
なんと驚異の巻き返しで第2ラウンドはくわな選手が獲得します。
続く第3ラウンドはmiriが劣勢で進行します。
勢いに乗るくわな選手が正確性も獲得ワード数も大きく上回りますが、ここで負けないのが絶対女王の実力。
miri選手はなんと正確性を95%に戻しながら5ワード連続で取得して、第3ラウンドを獲得しました。
大会3連覇中ということもあり注目度ナンバーワンのmiri選手ですが、その前評判を覆すようなくわな選手の活躍によって試合の行方が分からなくなります。
常に冷静さが伺える両者ですが、なんと第4、第5ラウンドをくわな選手が連続で獲得!
一進一退の攻防が続きますが、先に王手をかけたのはmiri選手でした。
第6、第7ラウンドを連続で獲得し、運命の第8ラウンドへ。
両選手が本当に互角の早さを見せますが、正確性の部分でややmiri選手が優勢。
くわな選手が先に9ワードを取得して追い込みますが、正確性を回復しきる前にmiri選手が10ワード目を取得!
みごとRTC2023の優勝に輝いたのはmiri選手となりました!
― くわな選手、今のお気持ちはいかがですか
くわな選手: 悔しい負け方をしてしまったなと・・・。
自分が正確性(95%)を割っていたときのmiri選手のプレッシャーのかけ方がすごくて、厳しい戦いでした。
― RTC初出場で2位という結果でした
くわな選手: 嬉しいですが、やはり決勝で勝ちたかったなと思います。
― miri選手、みごと王座を防衛しましたね
miri選手: 本当にホッとしています。
今までで一番いい試合をしたんじゃないかなと思います。
― 4連覇へのプレッシャーをみごと跳ねのけました
miri選手: 本当に安心しています。
女性がトップに立つ分野は多くないと思っていて。
自分自身もこれまで“女性最速”と言われることが多かったんですが「それって一番じゃないよね」と・・・。
性別関係なくタイピングが早い人を全員倒さないといけないという気持ちでがむしゃらに練習してきたので、今年も優勝できてホッとしています。
miri選手の4連覇で幕を閉じる!
当初の予定を超えた4時間30分もの激闘を制したのはmiri選手!
優勝賞金20万円のほか、賞品としてREALFORCE希望モデルと優勝トロフィーが贈られました!
優勝トロフィーはインパクト抜群な金のREALFORCEです。
3年ぶりの開催となったRTCですが、白熱の試合と駆け引きなどその様子はまさにeスポーツ。
パソコンとキーボードさえあればプレイでき、将来確実に役立つタイピングスキルを磨くことができるという“神ゲー”なので、皆さんもぜひ一度挑戦してみてください。
RTC2023の様子はYouTubeとTwitchのアーカイブ映像から。
大会で実際に使用されたタイピングソフトや出題ワードファイルはRTC2023公式サイトから無料でダウンロードできます!