史上最大のスマブラトーナメントSmash World Tourが決勝1週間前に突如中止を発表、トラブル続きの経緯を説明する公式声明も

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史上最大のスマッシュブラザーズ非公式大会Smash World Tour(以下、SWT)のTwitter公式アカウント(@SmashWorldTour)は、米国時間2022年12月9日(金)から11日(日)に開催が迫る決勝大会「SWT Championships」および「SWT 2023」の中止をアナウンスした。
あまりにも突然の知らせに、スマッシュブラザーズのeスポーツシーンは衝撃を受けている。

史上最大のeスポーツツアー「Smash World Tour」

SWT 2022は米国時間2022年3月12日(土)から11月20日(日)まで行われた世界各地のSWT認定大会でポイントを獲得した上位プレイヤーが2022年12月9日(金)からの決勝大会に招待されるというサーキット形式のトーナメント。
2020年3月に発表されたものの新型コロナウイルスの影響によりキャンセルされ、2021年は一部オンラインでの開催となっていた。

SWT 2022は念願の完全フォーマットでの開催に世界中のスマブラプレイヤーは歓喜し、2022年だけでも世界中の6,400以上のライブイベントと32万5,000人もの参加者があったという。
2022年の決勝大会 SWT Championshipsの賞金総額は25万ドル以上。SWT 2023では35万ドルを超える賞金プールが予定されていたことからも、その盛り上がりが伺える

SWTが突然の中止を発表

SWTのTwitter公式アカウント(@SmashWorldTour)は、日本時間2022年11月30日(水)午前7時51分に衝撃の発表を行った。
決勝大会「SWT Championships」および「SWT 2023」の中止をアナウンスしたのだ。

SWT発表の公式声明
Medium

これまで8か月かけて戦ってきたプレイヤーの集大成となる決勝大会と、さらに大きな規模で開催される予定だった2023年のSWTが突然の中止。
SWTはなぜこのようなことになったのかという経緯を17,000文字3,500単語を超える長文で説明している。
英語の全文はMedium(@smashworldtour)から確認できる。

ことの発端

私たちは2021年11月にPanda Cupと任天堂がパートナーシップ契約を結んだ時点で、SWTの閉鎖を危惧しました。
しかし意外なことに、任天堂はPandaとのパートナーシップは独占的なものではないことを明確にしたうえで、SWTがライセンス取得を目指すかどうかを知りたいと言ってきたのです。
SWT 2021の決勝大会にはかなり自信を持って臨みましたが、任天堂とコミュニティの歴史を考えると、彼らの言うことをそのまま受け取ることはできませんでした。
そして、SWT 2022については任天堂の要請もありその場で発表するのを控えていました。

SWT 2022のライセンス取得に向けて

私たちはSWT 2022のツアーが始まる3月までにライセンス取得を目指して、任天堂との話し合いを続けました。
そのなかで、任天堂は一貫して透明性を持って私たちの質問に答えてくれていることを初めて感じ、世界中のさまざまな大会主催者と最終確認を行うことで、これまで以上に自信を持つことができました。
しかし、すぐに多くの大会主催者がSWT 2022への参加に対して懸念を抱いていることが判明します。
彼らは「PandaのCEO兼共同創設者であるAlan氏から、SWTは閉鎖されるためSWT 2022は開催されないと言われた」と明かしてくれました。
もちろん任天堂と私たちの間にそのような話はありませんでしたが、正式なライセンス契約までは任天堂との会話を非公開にすべきだと思ったので大会主催者に弁明できずにいました。
任天堂にこの件を伝えると「無許可のSWTになることはない。PandaのCEOは任天堂の代表ではない。Pandaとのライセンスは独占的なものではない」と、再度私たちを安心させてくれました。
私たちはSWTだけではなく、任天堂のアプローチやコミュニティとの関係について改めて可能性を感じるとともに、任天堂と協力しながら2022年1月下旬にライセンス申請を提出しました。

ライセンス取得は間に合わずツアースタート

任天堂からの回答は意外にもゆっくりで「世界規模であるSWTについては任天堂アメリカ以外にもほかの任天堂チームと調整しなければならないため、時間が足りなくなった。12月に開催される決勝大会ひとつに絞ってライセンス申請をするのはどうか」と提案されました。
私たちはSWT ChampionshipsとSWT 2023のライセンス申請に向けてより長い時間をかけて活動を再開させることにしました。
同じ頃、Panda Cupはサーキットのイベント募集を盛んに行っており、CEOは「Panda Cupに参加するイベントはSWTに参加できないようにする」という条件も付け加えました。
私たちも驚きましたが、このルールは2022年4月頃に解消されました。
そしてさらに驚くべきことに、Panda Cupに参加する複数の大会に向けて発表からすぐに任天堂のライセンスが発行されたのです。

中止へ

2022年5月のPanda Cup開催発表から、任天堂の連絡は劇的に遅くなりました。
私たちが「ライセンス無しで発表した人たち」として見られるのは本意ではないため協力的な姿勢を示しましたが、2022年11月23日(水)の夕方に任天堂の担当者から「今後のSWT ChampionshipsやSWT 2023の活動にはライセンスを与えないというニュースを伝えてほしい」と言われました。
私たちはその理由を明確にできないかと尋ねましたが、具体的なことはわからず、まるで任天堂がSWTの存続を望んでいないように感じました。
最後に、2023年はライセンス無しで継続したうえで2024年から任天堂との協力関係へシフトできないかとお願いしましたが「そのような時代はもう終わった」と告げられました。
キャンセルせざるを得なくなった場合の影響については任天堂も「理解している」とのことでした。

著名人やプロ選手も反応

カプコン時代「ストリートファイターVシリーズ」のエグゼクティブプロデューサーを務め、現在は株式会社ラセングルの代表取締役社長を務める小野義徳氏や「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」の世界最強プレイヤーとも名高いT1所属MkLeo選手も今回の件に反応している。

日本国内では2022年7月にCrazy Raccoon(@crazyraccoon406)が、2022年9月にZETA DIVISION(@zetadivision)がスマッシュブラザーズ部門を設立したことは記憶に新しい。

あまりの衝撃に一部情報が錯綜している部分もあるが、現時点でPandaや任天堂アメリカからの発表は確認されていない。
SWTは関係者すべてに謝罪するとともに、スタッフや参加者に対する払い戻し、旅行手配の変更などに関して連絡を取り合うとしているが、その影響はすさまじく、今後もしばらくのあいだこのほとぼりが冷めることはないだろう。
これからのSWT、ひいてはスマッシュブラザーズの競技シーンがどうなるのか。
まずは渦中の団体・企業からの反応を待ちたい。

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