2021年9月30日(木)より開催されていました「東京ゲームショウ2021 オンライン」(以下TGS2021 Online)。
本イベントに「広島市立大学」も出展、オフライン会場ではVR歩行装置「Movere Crus」が展示。
同大学発のスタートアップ「Movere」によって開発・販売されています本製品の実力、体験して参りました!
VR歩行装置「Movere Crus」を体験
VR歩行装置「Movere Crus」は足踏みによって圧力センサー内蔵のクッションに大腿部を押し当てる形で荷重を検知、歩行操作(キー割当のカスタマイズ可能)として入力するセンサー装置。
本製品の入力はSteamVRに対応しているため、多くのVRコンテンツで移動操作を行うことが可能。会場でもバーチャルSNS「cluster」をVRヘッドセット+本製品の環境で体験できました。
実際に試してみたところ、感圧センサーによる操作には多少慣れが必要でしたが、移動と方向転換を実際の歩行に近い脚踏みで行うことができる感覚は興味深いものでした。
加えて、装置への前傾や足踏みを止めればそれだけで操作から離れることができるのは、足場から降りなければならない他の据置型装置にない強みと言えそうです。
その上で、他のVR歩行装置「Virtuix Omni」シリーズや「KAT WALK」シリーズの課題であるサイズや装置自体の重さ、コスト問題の解決が目指されています。
会場で展示されたのは別売りの足場・スタンドを組み上げた構成ですが、この状態でも持って動かせる重さに十分収まっており、使用しない場面での片付けや掃除がしやすいメリットがあります。
しかし、それ以上に本製品は机に据え付ければ上部のセンサー装置部分だけで利用可能な点が個性的。この机に装着した状態が本製品の真骨頂と言えるでしょう。
基本的に机はユーザーの体の高さに合わせて設置されているもの。個々人の部屋の環境に合わせて非常にコンパクトなスペースで使用でき、床も占有しない本製品の特徴はハードルの高いVR歩行装置を一般家庭にも導入できる可能性を感じさせます。
実際のところ居室をVR部屋として兼用する一般家庭、さらに言えば椅子を買うと布団が敷けなくなる狭さの筆者の部屋にとって、VR歩行装置のためだけにおよそ冷蔵庫程のスペース+手を広げられるだけの空間を確保することは困難。それだけに本製品の歩行装置のサイズ問題に対するアプローチは印象的でした。
カラバリ充実の「Movere Crus」展示品は基盤が見えるクリア仕様も
本製品、実はカラーバリエーションも豊富。
公式HPの製品説明では水透明/レッド/スカイブルー/若草半透明の4種類が用意、展示品は機構の紹介も兼ねてかクリアパーツ仕様の水透明と不透明なスカイブルーの2台が配置されていました。
内部の基盤やセンサーが見える様子には筆者のテンションが何となく上がりましたが、実際のところ開発者向けにも内部の動作が確認しやすいことはメリット。
それでいて中身を見せる必要がない場合の不透明カラー仕様が実際に展示されていることからも、既に実際にイベントなどで使用されることを想定されている段階でもありそうです。
なお、本製品の開発の動機には家庭用ゲームやアミューズメント向けだけでなく、外出する体力の無くなってきた高齢者が部屋にいながら歩き回れる装置として楽しんで欲しいとする願いも込められているとのこと。
リハビリにも効果があるのではと期待したい、そう話してくれた本製品の仕掛人にして同大学講師の脇田航氏の言葉には、新技術としてのゲームだけではないVRの可能性の広がりと未来を感じました。
そんな未来の実現のためにも、幅広い年代に受け入れられる外装の更なるバリエーションにも期待したいところですね。机に取り付けられる仕様からすれば、今後は木目調も……?
「Movere Crus」は評価版が販売中!
そんな本製品は現在開発者向け評価版として本体が99,800円、専用スタンドが39,800円(どちらも税・送料込)で販売されていますが、今後も改良が予定されています。
特に現在はユーザーの体格や癖に合わせて操作感を適応させるキャリブレーション技術の改良を進めているとのこと。
体験では操作に不慣れなところもあり、入力の加減が難しかった点が多少気になりましたが、あくまで設定で調整できる部分のようですね。
VRは没入感が大切な要素であるだけに、自然な操作感を求めるユーザー個人の感覚に応えてようとしてくれるアップデート方針には期待が高まります。
VRガジェットに興味のある方は詳細を「Movere」公式サイトでチェック!
また、VR開発に興味のある方は詳細を「広島市立大学」公式サイトからどうぞ!