インプレスが2022年7月20日に発行したばかりの「いちばんやさしいWeb3の教本 人気講師が教えるNFT、DAO、DeFiが織りなす新世界」が発売から1週間も経たずに、販売終了及び回収すると発表された。
すでにAmazon.co.jpなどでは電子書籍版も購入できなくなっており、購入するには中古などで入手する必要がある。
書籍「いちばんやさしいWeb3の教本 人気講師が教えるNFT、DAO、DeFiが織りなす新世界」の回収につきまして、弊社Webサイトにご案内を掲載いたしました。
この度は皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。https://t.co/633I6Sp694
— インプレスブックス (@impress_corp) July 25, 2022
誤情報を掲載していたのが原因か
「Web3」は次世代のwww(ワールド・ワイド・ウェブ)とされ、「Web 1.0」「Web 2.0」に続くものという風に見えるが、セマンティック・ウェブの「Web 3.0」とは異なる。
ブロックチェーン、暗号通貨、NFTなどを指すことが多く、Web3 Foundationのサイト上では分散型ウェブの基盤を構築する開発・研究チームに資金提供しているということもあり、「Web3=分散型オンライン」という解釈ができるが、ただのマーケティング用のバズワードという指摘もある。
ワードだけが先行して広まり、Web3が一体何なのかわからない状況下で、数多くの技術専門書を発行してきたインプレスが「いちばんやさしいWeb3の教本」には多くの期待が寄せられていた。
そして7月20日に発売開始し、一部無料公開されたところ、多くの指摘が入りSNS上で誤情報が掲載されていると話題にあがった。
パワーワード連発、情弱向けの情報商材?
「いちばんやさしいWeb3の教本」にはWeb3について知識のない方が読んでも疑問だらけの内容がたくさん記載されていた。
OSの説明では“Android、iOS、Windowsよりイーサリアムが適している”、プロトコルの説明では“Web2の時代に(HTTPやSMTPなどのプロトコルが)GoogleやAmazonなどの一部のプラットフォーマーに独占されてる”など、ITリテラシーが全くない人に対して間違った知識を与えるような内容があった。
ネット上では同書は知識のない情報弱者に、役に立たない情報商材を売っているようなものと比喩されていた。
著者は内閣官房の有識者「田上智裕」
著者は田上 智裕氏(@tomohiro_tagami)で、内閣官房「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」および「ブロックチェーン官民推進会合」へ有識者兼オブザーバーとして参画している。
【いちばんやさしいWeb3の教本】予約開始です!
Web3領域で長らく事業を行なってきた僕の経験を全て詰め込んだ一冊が完成しました。
期待を裏切らない内容になっていると思うので、ぜひ予約してお待ちください?書籍はこちら:https://t.co/glO4w4DADJ#いちやさWeb3https://t.co/glO4w4DADJ
— Tomo Devcon?? (@tomohiro_tagami) June 20, 2022
今回、販売終了及び回収に至った原因をインプレスは下記のように述べている。
今回の事案は、書籍制作時に行う外部有識者によるチェックを怠ったことが大きな要因になったと考えております。
内閣官房の有識者が執筆したものであれば、外部有識者のチェックは不要と判断したのだろうか。
逆に内閣官房「ブロックチェーンに関する関係府省庁連絡会議」と「ブロックチェーン官民推進会合」の実態も気になるところではある。