後悔ばかりの人生を力強く歩む「ライフイズストレンジ2」

今回ご紹介する「ライフイズストレンジ2」はスクウェア・エニックスからPlayStation4/Xbox One/Steam向けに発売されている、プレイヤーの選択によって物語の内容が変化するアドベンチャーゲームです。
開発はフランスのDONTNOD Entertainmentがおこない、グローバル版が2018年9月、日本版が2020年3月26日に発売されました。

今作は前作「ライフイズストレンジ」のから3年後の物語。
意外なところで懐かしいキャラクターが登場するアナザーストーリーの「ライフイズストレンジビフォアザストーム」からプレイしてみても面白いかと思います。
もちろん本作の「2」からはじめても問題なく遊べます。

ひとつの選択だけで人生は決まらないから

キャッチコピーにもなっているこのフレーズ。
前向きな言葉にも聞こえますが、結末を見終わってからあらためてみてみると、違った意味が見えて来るかもしれません。
人種差別、性自認、歴史に関わる問題も「ライフイズストレンジ2」ではストーリーの中で大きく取り扱っています。
現実世界にもあるこのテーマをリンクさせて考えてみると、物語の深みが増します。

現実とリンクする問題

主人公兄（ショーン）と弟（ダニエル）は父親の故郷メキシコのプエルト・ロボスを目指して、北アメリカ大陸西部を縦断する長い旅を続けることになります。
ストーリーの舞台は2016～2017年のアメリカでショーンとダニエルはメキシコ系アメリカ2世です。
トランプ政権が発足後、国境の壁建設問題が以降の情勢を反映させています。

アメリカ国民の多数が極端な思考をもっていると考えにくいですが、物語には差別主義的で排外主義的なアメリカ人も登場します。
その中でダニエルが冒頭の事件で強力な力を手に入れることにより、マイノリティが反社会的になる可能性も危うく描かれています。

道徳性

兄（ショーン）＝プレイヤーのあなたの選択によって、弟（ダニエル）の道徳性が変わってくるという
システムですが、自分は何に価値を置いているかが色濃くでます。
ネタバレになるのであまり多くは語れませんが、この機能も物語運命を握る大きなキーワードになっています。

例えば、ダニエルの親友クリスが兄弟を助けようとしてパトカーの前に飛び出す場面があります。
そのときに、親友クリスを助けるか、そのまま警察に捕まらないように逃げるかによっても、ショーンへの信頼感・ダニエルの道徳性に影響を与えます。
大切な人を守るために超能力をつかうのか、そのことによって力を知る人物が増えても大丈夫なのか。
エンディングへの分岐点にもなる選択もありますので、必要な時に力を使うべきか否かのジレンマを、抱えながら選択することになります。

「ライフイズストレンジ2」のおすすめポイント！

2020年に入り、コロナの影響が全国各地に広がっています。
その中で、世の中のルールが1週間おきに変わっていき仕事でも上司の言っていることがコロコロ変わると困惑されている方、この状況がいつまで続くのか不安に考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今後何を大切にしたいのかを考えて選択することが不安定な時代を生きる上で大切になります。
自分が選んだ結果、未来にどんな影響を及ぼすのかを「ライフイズストレンジ2」を通じて体験できます。
主人公の兄（ショーン・ディアス）はある事件をきっかけに特殊な能力に目覚め、弟（ダニエル・ディアス）を守るためにルールを決め、その都度やりとりをしていきますが、意思の疎通が難しくなり、すれ違いを起こしていきます。
超能力はピンチを乗り切るときに使えますが、警察に捕まるリスクも同時に負うことになり、使いどころが難しい能力です。
また、ダニエルの心情も鑑みながらコミュニケーションをとらないといけないので、何を大切にしたいかを考えながら“選択”していくことになります。

2匹のオオカミ

これは、主人公の兄（ショーン）と弟（ダニエル）を象徴するモチーフです。
物語の要所にでてくるので、考察しながら進めてみると面白いと思います。
各章をつなぐあらすじ絵本のオオカミ兄弟も毎章ストーリーが変化するので、注目です！
「チェロキー族の2匹のオオカミ」も物語完結後に調べてみるとストーリーに深みが増すので、おすすめします。

献身的な兄

プロローグでは弟（ダニエル）を兄（ショーン）が邪険にしています。
しかし、とある事件がきっかけで住んでいた街を追われることになり、2人で各地を転々とするにつれ、絆ができてきます。それでも、お互いすれ違う場面もありますが、その微妙なニュアンスは長子で弟・妹がいる方にはなんとなくわかるものがあるのではないでしょうか。
上司と部下の関係や恋人間でのやりとりにも通ずる部分があります。

容赦ない現実

どのキャラクターに感情移入するかによって見方が変わってきますが、プレイヤーが操作することの多い主人公のショーンに思い入れが多いのではないでしょうか。本当に、大人でも判断が難しい状況に
当時、16歳と9歳の兄弟が立ち向かっていく姿には勇気をもらえます。
エンディングでは1本の上質な映画を観終えた満足感があります。