2007年にアメリカでiPhoneが発表。同年にAndroidも発表され、本格的にスマートフォンの時代が到来しました。
あれから十数年。総務省の令和5年通信利用動向調査によると、スマートフォンの世帯保有率は90.6%と9割を超え、もはや生活に欠かせないインフラとなっています。
そんなスマートフォンもれっきとした消耗品。本体の汚れや損傷、バッテリーの寿命といった問題から、多くのユーザーが2台目、3台目のスマートフォンに機種変更していることでしょう。
では、これまで使っていた古いスマートフォンはどうしているでしょうか?
下取り?リサイクル?サブ端末として利用?タンスの中?
今回は最先端の自動化技術で世界の中古端末市場を支えるAssurantの取り組みについてご紹介します。
世界に遅れを取る日本の中古端末市場

Assurant, Inc.はニューヨーク取引証券所に上場しているグローバル企業。
130年以上にわたる歴史のなかで・・・
- 家電/スマートホーム家電の保証
- 車両/商業用機器の保証
- モバイルライフサイクルマネージメント
- レンダーズ保険、住宅保有者/賃借人保険、及びソリューション
- 金融サービス事業者向けソリューション
・・・といった幅広い業界で全世界3.25億人の消費者にトップクラスのサービスを提供してきました。
現在は21か国の拠点で1.3万人以上の社員が働いており、中でも日本は最も重要なマーケットのひとつであると指摘しています。
なかでも今回注目するのが中古スマートフォン市場。
世界的に成長の一途を辿っており、2024年には端末総販売台数の19%が中古だったとのこと。
また、今後3年間はこの伸長が続くと予想されています
しかし、Assurantの調査によると日本国内における中古スマートフォンの利用率は約6%。
世界に比べてもその差は大きく、十分に活用されているとは言えない現状です。

一方で、近年注目を集めているAI搭載端末は消費者の買い替え意欲を刺激しており、スマートフォンの平均使用年数が減少したというデータも。
下取りによって消費者が受け取る金額も年々上昇しており、2024年のアメリカ国内における下取りプログラムの消費者受け取り総額は45億ドル(約6,700億円)に達しました。
そんななか、Assurantは中古スマートフォンを資産と捉え・・・
- テクノロジー
- エンド・ツー・エンドのシステム構築
- 知的財産
・・・のすべてに投資を行ってその価値を最大化することで、各事業者への利益と持続可能な社会作りに貢献できると考えました。
Assurant, Inc.の自動化された端末処理施設では年間最大2,000万台の端末を処理

Assurant, Inc.は世界8拠点のデバイスケアセンターで年間最大2,000万台の端末を処理しています。
これは端末価値にして約40億ドル相当にあたり、これらの作業は約2,500人の専門技能を持ったスタッフが支えているとのこと。
中でもアメリカのテネシー州・ナッシュビルにある旗艦施設は2.4万平方メートルの広大な敷地を持ち、2024年だけで1,500万台の端末を出荷しました。

このデバイスケアセンターではソフトウェア、ハードウェア双方からアプローチを行い、AIを活用することで各処理の自動化に成功(資料映像)。
高品質な自動化は常に均一なアウトプットを提供する“再現性”という観点において非常に重要であるほか、業界水準が50日である端末処理日数を平均10日間に大幅削減しています。
Assurant Japanも日本国内における自動化設備の拡充を目指す

Assurant, Inc.が多岐にわたる事業を展開するなか、日本法人であるAssurant Japanは・・・
- モバイルデバイス事業
- 家電・住設事業
にフォーカスして日本国内でサービスを展開しています。
特にAssurant Japanが掲げるのは“製品のライフスタイル全体をマネージする”というコンセプトです。
例えばスマートフォンの場合、購入した後のセットアップや使っていくなかで分からないことがあったら相談できるテクニカルサポート。
破損や紛失に備える端末補償。
買い替えの際の下取り・アップグレード。
このようにユーザーが製品を使い始めてから終わるまでに求められるサービスを包括的に提供するのがAssurant Japanです。
\家電保証プラスの特徴3つ/
①メーカー問わずどこのお店で買った家電も保証
②お持ちの家電も保証
③自然故障だけでなく、うっかり落とす・ぶつかるなどで発生する“偶発的な事故起因による物損故障”も保証https://t.co/u4NT5u2BoC#家電 #保証 #トリセツ— トリセツ【公式】 (@torisetsu_biz) March 27, 2025
その最も象徴的な取り組みが、さまざまな製品の取扱説明書を PC・スマホで一元管理する「トリセツ(App Store/Google Play)」です。
2024年時点で500万ダウンロードを達成するなど市場からも好評です。
そして今後のミッションとしては・・・
- オートメーションによる端末処理コストの最小化
- 中古スマートフォンの再販利益の最大化
- トップクラスの品質を備えた認定中古スマートフォン(CPO)の安定供給
・・・を掲げており、特に中古端末処理に関しては現時点で手動の部分があるといい、アメリカで実績のある完全自動化システムの近年中の導入を目指しているそう。
さらに認定中古スマートフォンの標準的なグレード基準を確立することでグレーディングプロセスも自動化し、健全で持続可能な循環型経済の実現を目指しています。
記者質問

― 日本で下取りされた端末の販売先は日本と海外でどれくらいの割合になるのでしょうか
ビジュ・ナイア氏: 日本では中古端末の再利用率が非常に低く、約6~7%にとどまっています。
一般的な話になりますが、下取りされた端末をそれまでの市場とは別の市場で販売してほしいという要望のあるクライアント様もいらっしゃいます。
日本のユーザーの皆さんは端末を非常に大切に扱っているようで、下取りに出されたときのコンディションも非常に良いため、海外では高い価格が付く傾向にあります。
以上のことから、日本国内で回収された端末は海外で販売されるということが多いように思います。

― Assurantとして表に立ってBtoC事業などを本格化する予定はあるのでしょうか
藤本潤一氏: 我々のメイン事業はBtoBtoCという形になっていますので、キャリア様やリテーラー様の裏方にいるような会社です。
ただ「MyWiT」というブランドにおいて一部中古端末の販売を行っている状況です。
石谷匡弘氏: 実は「トリセツ」でもAssurantの名前は一切出してないんです。
現状ではAssurantでないブランドで展開していることが多いですね。

― 日本国内における中古端末処理について、バッテリー交換をする場合には総務省の認可が必要という認識ですが
藤本潤一氏: 現状、日本国内ではバッテリー交換をしておりません。
アメリカではCertified Repairというかたちで認定を受けながら行っている状況です。
ただし世界中のメーカー様と良い関係を持たせていただいているので、日本でもそういった流れを引き継いでいければと思っています。

― 日本国内の中古端末処理の完全自動化はいつ頃を予定していますか?
ブランドン・ジョンソン氏: 日本では「ビジョントンネル」と呼ばれる設備が稼働しています。
そしてナッシュビルにある旗艦施設の自動化ラインも安定してきたところですので、この技術を日本に導入していきたいと考えています。
今年、来年頃に非常に大きな変化があると思っていただければと思います。
石谷匡弘氏: 1年というのは少し野心的過ぎるかなと思うので2年くらいを見ていただけるとありがたいですが(笑)
「ビジョントンネル」も現在は2台稼働しておりまして、これからさらに全体の自動化に向けて動いていきたいと思っています。