株式会社Cygames(サイゲームス)は株式会社DouYu Japanの運営するライブ配信プラットフォーム「Mildom(ミルダム)」内で、サイゲームスのゲームタイトル投稿・配信を禁止すると発表しました。
また既にアップロードされている動画に関しても順次削除対応していくとの事です。
ライブ配信プラットフォーム「Mildom」における、当社コンテンツを使った投稿・配信の禁止について | 株式会社Cygames https://t.co/rHSeJBC97R
— Cygames公式アカウント (@Cygames_PR) March 13, 2020
配信禁止対象のゲームタイトル
配信禁止及び削除対象となるゲームタイトルは下記の通り。
- グランブルーファンタジー
- グランブルーファンタジー ヴァーサス
- 神撃のバハムート
- プリンセスコネクト!Re:Dive
- Shadowverse
- ワールドフリッパー
中でも「グランブルーファンタジー ヴァーサス」は発売したばかりにも関わらず、EVOのメインタイトルに選出されるなど、多くの人気を誇っています。
何故配信禁止になったのか?そもそも「ミルダム」とは?
ミルダム公式Twitterアカウントでは以下のようにツイートしている。
当社は誠心誠意対応に努めて参りました。
しかしながら、本件はCygames社及びCyberZ社(OpenRec)の関係が主要因となり、交渉妥結には至りませんでした。Mildomはユーザーの皆様が他のタイトルにおいて、引き続き楽しく快適に配信・視聴できる環境づくりに努めて参ります。 https://t.co/bAiynylRlE
— Mildom(ミルダム)【公式】 (@Mildom_Official) March 13, 2020
サイゲームスと同じサイバーエージェントグループの株式会社CyberZが運営するOPENREC.tv (オープンレック)が要因のように表明しています。
OPENREC.tvはミルダムと同じゲーム配信プラットフォームで競合サービスにあたります。
ミルダムの表明により、一部ユーザーは「競合サービスのミルダムを排除したのでは?」というような声が漏れています。
「Mildom(ミルダム)」について
「Mildom(ミルダム)」運営会社の株式会社DouYu JapanにはWeChatなどのメッセンジャーアプリなどを展開する、中国の大手IT企業テンセント(Tencent)が資本参加しています。
DouYu(https://www.douyu.com/)は中国版Twitchとも呼ばれる中国で人気のゲーム配信プラットフォーム。
株式会社DouYu JapanはDouYu(斗魚)の日本法人で中国(DouYu)と日本(三井物産)のジョイントベンチャーです。
テンセントは日本のゲームメーカーとも多く提携しており、最近ではプラチナゲームズを買収した事も記憶に新しいです。
CEO兼CAO・長瀬太陽氏とCOO・孫 煇氏は求人サイトで、下記のようにコメントしています。
──CEO兼CAO・長瀬太陽氏のコメント
株式会社 DouYu Japan資本金8億円でスタートしましたが、これは半年用のトライアル資金で、中長期的には数百億円単位の資金を投入する用意があります。親会社のDouYuはナスダックで800億円の資金調達したところですし、三井物産も今後も継続的に資金を投入して『Mildom』のパフォーマーとユーザーを増やしていく計画。『投げ銭』と『ファンクラブ』でマネタイズするビジネスモデルも中国で成功済みです
──COO・孫 煇氏のコメント
株式会社 DouYu Japan『Mildom』を使えば、誰でも簡単にゲームライブストリーミングが行なえます。一定の条件を満たす人には、『Mildom』が500円の時間給をお支払いします。パフォーマンスの人気に応じて昇給し、人気パフォーマーになると当社と専属契約を行い、月収制になります
このように巨大な資本があり、ストリーマーへの還元率が競合サービスと比べ、群を抜いているイメージがあります。
実際に多くのストリーマーが配信プラットフォームを「Mildom」に移行しており、OPENREC.tvから移行したストリーマーも多くいます。
株式会社DouYu Japanの採用ページに記載されてる仕事内容にも「適切な配信者候補を洗い出し、配信者との協業を推進します。」とあるので、他社プラットフォームからのスカウトも活発におこなわれてると思われます。
そういった背景から「OPENREC.tv離れを防ぐためにサイゲームスが配信禁止措置をしたのではないか?」という声もありますが、「Mildomは元々IPホルダーからの許諾を得ていないのではないか?」という声もあります。
「Mildom」でのゲーム配信は自己責任?
「Mildom」の配信者規約では、下記のように記載されています。
配信者は、本配信で配信する配信コンテンツの全ての内容について、事前に、権利処理が必要な全ての権利者との間で、本配信の実施及び次項に定める運営会社への許諾ライセンスの付与のために必要な権利処理を適正に行うものとします。
Mildom配信者規約配信者による本配信の実施に起因又は関連して第三者との間で生じた紛争等については、配信者は、自らの責任と費用負担においてすべて解決するものとします。運営会社は、配信者が本配信を実施したことに起因又は関連して発生した紛争等について、一切責任を負わないものとし、配信者は、運営会社がその裁量で第三者に対する賠償その他の権利・利益の回復措置を行った場合、当該措置に要した一切の費用を、運営会社に対して補償します。
上記は配信者規約の一部ですが、要するに配信者がIPホルダーから直接許諾を取り配信するという事と、賠償などのトラブルがあった際は「Mildom」に補償しなくてはいけません。
こういった規約の背景から、元々サイゲームスのゲームタイトルを無許諾で配信していたと予想されます。
サイゲームス側からのお知らせでも「当社が提供するゲームタイトルに関する利用許諾が正式になされぬままコンテンツが投稿されている問題が確認されておりました。」と記載があります。
サイゲームスは自社グループのプラットフォームしか認めないのか?
今回の件で、サイゲームスは「利用許諾が正式になされぬままコンテンツが投稿されている」としており、ミルダムは「Cygames社及びCyberZ社(OpenRec)の関係が主要因となり」としている。
この事からサイゲームスは、自社ゲームタイトルは自社プラットフォームしか認めないような誤解を受けていますが、「noteに限りShadowverseの攻略記事を有料で販売する事を著作権侵害を主張しない」という事をおこなっています。
Shadowverseから「デジタルコンテンツの投稿に関するガイドライン」が発表されました。他プレイヤーへの知力共有を目的に、攻略法などの有料記事販売をnoteでの投稿に限り認めていただくことになりました。ぜひ、積極的にご活用ください。https://t.co/0TNZU9M1su
— note (@note_PR) October 1, 2019
“noteのみ”攻略記事有料販売を可能としており、株式会社サイバーエージェントが運営する「アメーバブログ」「REQU(リキュー)」などでは攻略記事の有料販売は許諾していません。
参考記事:ブログを書くだけ!アメブロで収入
サイゲームスが他社のプラットフォームで“のみ”使用を認めてるという点から、自社グループ囲い込みにそこまでこだわっているようには見受けられません。
どういった協議があったか現時点ではわかりませんが、プラットフォームを運営する会社はIPホルダーからの許諾を、ストリーマーはプラットフォームの規約をちゃんと読んで利用するサービスを選定しましょう。
特に収益化を求めてゲーム配信を始める方は、いきなり収益源が絶たれる可能性もあるので、プラットフォーム選定は慎重におこないつつ、配信したいゲームタイトル・ゲームメーカーの配信規約なども合わせて確認しましょう。